UV LEDの波長について
UV LED照射器でUV硬化樹脂、UV硬化ガスケット、UV硬化塗料、UV硬化インクなどを硬化させるときに大事なことはどの波長を選ぶかということです。
従来のUVランプによる硬化では重合開始剤の感度波長が幅広く広がっており
UVメタルハライドランプは250nm~450nm,
高圧水銀ランプは365nmを中心に254nm,313nm,405nm,436nmなどにピークがあります。
つまり重合開始剤がどの波長の感度で一番効き目があるかわからないけれど照射してみたら固まった、ということなのです。
一方 UV LED照射器の場合は基本的には単一波長なので重合開始剤の感度が最も高い波長を選ぶべきなのですが、問題はどの波長が適しているのかわからないという悩みがあります。仕方がないので365nm,385nm,395nm,405nmと試してみられるお客様も多くおられます。ごく最近では材料メーカーのUVLEDに対する認知度があがりUVLED波長と必要積算照度を明記する材料も出始めております。
つまり UVLED用に1つの波長で硬化する材料です。
経験からの話ですが 一般的には365nmが最も多くの事例があります。印刷 インクジェット用としては385nm,395nmです。また UV硬化ガスケット、UV硬化パテなど厚く塗布する場合は395nm,405nmが多くなっています。
2波長、3波長照射器の製造も経験があります。365 385nm,365 420nm, 365 405nmなどの組み合わせです。
深紫外の波長の275nm,280nmなどのUV LEDも最近殺菌の市場をターゲットとして各メーカーがしのぎを削っており、それらの波長帯域のLEDパッケージも市場に出始めております。今後は殺菌の分野でもUVLED照射器の活躍の場が出てきそうです。
また、紫外線硬化の分野でも300nm以下の波長によるUV硬化に市場性が見えてきました。当社では280nmの深紫外LEDの照射で酸素阻害を除去した例も出始めています。
光重合開始剤について
UV硬化にとって光重合開始剤は重要な構造物の1つです。なぜなら名前のように 重合を開始させてくれる材料だからです。一般的にラジカル系とカチオン系がありますがラジカル系が多く販売されています。硬化が早く 多く販売されているのでコスト的にも有利なことが理由です。
光重合剤 ラジカル系 カチオン系の比較
ラジカル系 | カチオン系 | |
---|---|---|
酸素阻害 | 受ける | 受けない |
UV照射停止後 | 硬化反応停止 | 硬化反応継続 |
熱による促進 | 受けない | 受ける |
耐熱性 | 中程度 | 良好 |
問題点は黄変と酸素阻害です。黄変とは 硬化後少し黄色味が入るのでクリアコートなどの木工用塗料などでは色味が変わる問題です。酸素阻害は硬化中酸素に触れる箇所、要するに表面の硬化が甘く粘着性が残る問題です。
重合開始剤の感度波長は近年300nmから430nm程度まで幅広いものが出てきていますが300nm以下の波長を与えることで酸素阻害の問題を少なくする効果があるといわれています。
当社では280nmの波長で照度150mW/cm2のラインタイプのUV-LED照射器のデモ機をそろえていますのでご希望に応じて貸し出しが可能です。
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