公開日: 最終更新日: 2021年12月

透過照明とは

一般的には、マイクロスコープは落射照明といって、観察体に対してマイクロスコープの発する真上方向からの照明で照らします。しかし、観察体によっては、マイクロスコープの照明は使用せず、観察体の裏側から別の照明で照らした方が見えやすい場合があります。この照明方法を透過照明と言います。

透過照明でお札の観察

身近なものでは、お札があります。 お札の“すかし”部分です。
これこそ、落射照明では全く見えず、透過照明にすると、はっきり見えてきます。

下の画像のように、真上からの落射照明では何が描かれているかわかりません。
少し高めの倍率にすると、何となく目があるよう気もしますが。
透過照明にして全体が映る倍率にしてみると、野口英世が浮き上がってきます。

透過照明を行う場合、裏側から照明を与えれば良いわけですが、薄くて、なるべく均一に照明が当たるように、面状の照明などが一般的には使用されます。

透過照明での観察は特定の用途が多いので、“そのような薄くて気の利いた機材は
持っていない”と言われるかもしれません。でも、当社のマイクロスコープDS-3A,DS-3ALなら身の回りの照明を利用して、簡単に透過照明を行うことが出来ます。
観察体の裏側から照らすのではなく、表から照らして、裏側から観察するという
逆転の発想です。

DS-3Aで透過照明観察してみる

使用機種:DS-3Aマイクロスコープ
     DS-XYSスタンド(DSスタンドでもOK)
     家庭用LEDスタンド
DS-3A,DS-3ALスコープは小型軽量なので、オプションのスタンドをお持ちのお客様は、逆立ちをさせて使うことが出来ます。
(注意)上から埃や水などが入らないように注意してください。本来は落射照明用なので、必要な時だけ行ってください。

このようなイメージです。観察体を自立スタンドの部分に乗せます。
小さいワークは、薄いガラス板の上に乗せると良いです。  
照明部が大きくなっても問題ありません。

お札の透かしも、この方法で取り込みました。

他にどのようなことがきるか試してみます。

透過照明で穴形状の確認

落射照明で、金属に開いた穴を真上から観察すると、貫通している穴の形状、エッジが、いまひとつわかりにくいです。
透過照明にすると貫通している部分が、はっきりとわかるようになります。
直径の計測やバリの観察には、この方法が最適です。

透過照明でマスクの観察

マスクでは、どうでしょうか。
デザイン性や繰り返し使用が出来る経済性の高い“布マスク”や“ウレタンマスク”利用者が多い中、医療関係者からは安全性が劣るとして、使い捨ての不織布マスクが推奨されています。隙間でもあるのでしょうか?

  • 不織布マスク
  • ウレタンマスク

透過照明を当てて、隙間があれば光漏れとなって、光る点が見えるかもしれません。
100倍で観察してみました。どちらも光漏れの点はありませんでした。

  • 不織布マスク
  • ウレタンマスク

ウレタンマスクは洗って何度か使用される方が多いということなので、実験をしてみました。

新品のウレタンマスクです。通常の落射照明で観察すると、リング状の膜の素材がお互いにしっかりとつながっています。250倍で観察しました。

仮に1週間使ったとして、7回洗ってから、250倍で観察してみました。
最初は真上からの落射照明で観察してみました。
あれ?なんか変です。リングも大きくなったような。

わかりにくいので、倍率を250倍にしたまま、透過照明で観察してみました。
だいぶ見やすくなりました。
うわぁ!リングが切れて、穴が大きくなっています。
リングの中の膜も無くなってスカスカです。
これでは、ウィルスさん、どうぞと言っているようなものです。

目視でマスクを見てみると、特に異常は感じられませんが、これだと、感染しやすい、感染させやすいマスクになってしまいました。
医療関係者が言うように、不織布マスクを使用して、使ったら捨てるが、一番のようです。

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