電子基板の観察
あらゆる電化製品、電子機器に必ず入っているものが電子基板です。
制御や記憶を行う重要な部分だけに、きちんとした品質管理が求められます。
例えば、
・部品を基板に接合している半田がきちんと付いているかどうか、全数を目視確認する。
・コネクタのピンに曲がりが無いか確認する。 等。
このように生産した基板に対して、拡大鏡や顕微鏡を用いて厳しく検査をされている企業は多いと思います。
半田の側面やコネクタの奥は、真上からでは確認できないので、苦労しながら基板を斜めにして確認をされているところも多いのではないでしょうか。
電子基板の斜めからの観察
DS-330HDスコープを使用すると、ハイビジョンモニターに拡大された画像が高精細で映し出されます。拡大鏡や顕微鏡を覗き込む必要が無く、自分以外の人達も同時に観察することが出来ます。
ワークを傾けることができる自在ステージに乗せると、簡単に斜めからの観察ができるので、作業も楽です。
また、画像の表示速度に遅れが出ないので、作業の動きと、映し出される画像の動きは同じ速度となり、違和感がありません。
自在ステージ
モニター上で斜めからの観察が可能
画像の保存は、無線マウスでモニターに表示されるアイコンをクリックするだけです。
でも、不良個所が見つかって報告用に画像を残すとしたら、どのようにしたら良いのでしょうか。
傾けて観察すると、レンズのピントが合う範囲を超えてしまいます。
*この範囲を焦点深度といって、ピントが合っている位置からレンズと観察体との
距離を変えてもピントがはっきりと合っている範囲(=深さ)をいいます。
一般的には倍率が低いほどピントの合う範囲は深くなり、倍率が高くなるほど浅くなります。
どのようなことか、電子基板を例に簡単なイラストで説明をします。
水色の幅の部分を、使用している倍率の焦点深度(レンズと観察体との距離を変えてもピントがはっきりと合っている範囲)とします。
電子基板に部品の凹凸があっても、左のイラストのように、この幅の範囲に収まってさえいれば、ピントが全域で合います。傾けると高低差が大きくなり、一部にしかピントが合わせられなくなります。
焦点深度幅に収まるので
全域でピントが合います
焦点深度幅に収まらないので
手前と奥側はぼけてしまいます
平に置くと焦点深度幅に収まるので、全域でピントの合った画像が得られます。
傾けると、焦点深度幅に収まらなくなるので、ぼけてしまう部分が生じます。
手前にピント(奥がぼけてしまう)
奥にピント(手前がぼけてしまう)
マイクロスコープのモニターを見ていた人たちは、ぼける理由が納得できるかもしれませんが、見ていない人たちにとっては、違和感のある画像になってしまうかもしれませんね。
斜めからの観察でもすべてにピントの合った画像を保存する
DS-330HDマイクロスコープを使用すると、そんな問題も解決できそうです。
二つの方法があります。
動画保存を使用する
DS-330HDマイクロスコープには動画保存機能が搭載されています。
動画で見ていただければ、ピント位置をずらしていく過程がわかるので、全体のイメージをとらえやすいと思います。
パソコンに接続して画像合成を行う
DS-330HDマイクロスコープは、パソコンに接続することが出来ます。
オプションのレオパード計測ソフトを使用すれば、レオパードに搭載されている画像合成機能を使用し、全域でピントの合った画像を作ることが出来ます。
レオパード計測ソフトを参照
ピントの位置を変えながら、静止画を数枚取り込みます。画像合成機能を使えば、取り込んだ静止画のピントの合った 部分だけが抽出され、全域でピンの合った画像が作成されます。
この手法を利用すれば、背の高い部品を斜めから画像取込みをする場合であっても、部品の頂点から根元の基板まで全域でピントの合った画像が作れます。
QFPパッケージのリードピンも画像合成機能を利用すれば、手前から奥までピントの合った画像が得られます。
コネクタのピンはどうでしょうか?
HDMIケーブルのコネクタを斜めから拡大観察しました。
画像合成機能を使用するとピンの状態がよくわかります。
BNCコネクタピンです。ピンの先端から根本までの画像が得られます。
これだったら、現場にいなかった人たちにも、どのような接合状態なのか、どのようなピン形状なのか、を理解していただけると思います。
なお、DS-330HDマイクロスコープについての機能は以下の動画でもご覧いただけます。